西尾維新 『不気味で素朴な囲われた世界』

 西尾維新(にしお・いしん)『不気味で素朴な囲われた世界』(ISBN:9784061825574)を読了。
 キャラクターの魅力と,文章に押し込められた言葉遊びは,それだけで十分に小説としての楽しさをもたらしてくれる。ミステリーとしての要素はアンチとしてのそれであり,病んだ中学生によって事も無げに踏みしだかれ,徹底的に茶化される。
 本格ミステリの作法を正確に踏まえつつ,被覆を剥ぎ取って解体し,さらけ出された伽藍の上でキャラ達が繰り広げる狂宴。《脱格》とは,まさしく本作品に対して献じられるべきレッテルだろう。
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