谷川流 『学校を出よう!』

 ここ数日,就寝前に谷川流(たにがわ・ながる)の電撃文庫側デビュー作『学校を出よう! Escape from The School』(2003年6月,ISBN:4840223556)を少しずつ読んでおりました。
 かなり,きついです。
 双子の妹の片方が幽霊として取り憑いてから6年たっていて,超能力者を隔離した学園にいて,何か良くわからないことが起こる話。
 初期設定の突飛さは乗り越えられたのですが,どこで息を継いだらよいのか迷う冗長な文体のせいで喉に甘食が詰まったような感覚がつきまとう。それも慣れてくるうちに流し読みできるようになったのですが…… 中盤からのストーリー展開は,もはやさっぱりでした。

「やけにSFっぽい設定と開いた口がふさがらない不条理さ。もしかしたらこの人は、ラノベの枷を外すとエログロナンセンスっぽい方向に走るんじゃないかぁとか思ったり。」

http://d.hatena.ne.jp/KeiKomori/20061109/p1

 とはいえ,作品が悪いのだとうそぶいて放り出すにしても引っかかりがありまして……。さらに検索をかけて出てきたのが夏葉さんの読解。

谷川流作品を貫く中心にあるモチーフは、理不尽に対する怒り、とでもまとめてしまってよかろうものだと思います。〈中略〉
 そんな『学校』一巻を受け入れられない読者が多い、というのが谷川的な理不尽のモチーフがあまり受け入れられやすいものでないこと〈中略〉を示していると思います。」

http://d.hatena.ne.jp/K_NATSUBA/20070501#1178089511

 この記事,発表された当時に目を通してはいたのですが,作品を読んで漸く企図するところが把握できました。
 『涼宮ハルヒ』を読んだだけでは「谷川流」の姿を見誤りますね。さて,谷川作品はあと2冊積んであるのだけれど……