谷川流 『ボクのセカイをまもるヒト』

 昨秋から,今まで担当したことのない科目の講義を引き受けていまして。「行政法」に取り組むのは12年振りなのですが,どうやって教えようかという目線で眺めると面白いように理解が進む。大学院入試の時には,ついぞ《公定力》という概念が掴めなかったものですが……。
 とはいえ,自転車操業ならぬ一輪車操業。今週は3コマもあったので体力を使い果たし,金曜日から伏せっておりました。
 うつらうつらとしながら読んでいたのが谷川流(たにがわ。ながる)『ボクのセカイをまもるヒト』第1巻(2005年11月,ISBN:4840232067)。〈僕〉は守護されることになった。自爆する妹キャラと,武士(もののふ)っぽいツリ目キャラに。何でも,〈僕〉に8つの世界の命運がかかっているらしい――
 まぁ,モチーフ自体は題名でも堂々と謳われているように《セカイ系》なのです。が,ハルマゲドンに至る悲惨さを削いで戦闘美少女のファンタジーを前面に打ち出し,中間項に奇抜な姉(で高校教師)を配置すると,誠にもって珍妙な仕上がりに。本作をけなすつもりはないが,さりとて続刊を読みたいとも思わないというところ。