雑破業 『おねがい☆ツインズ』

 木崎湖旅行の直前,なんとか『おねがい』シリーズのアニメ本編(全13話×2)を観るところまでは済ませたものの,周辺情報まで把握するのは間に合わず。星湖亭で「まりえカレー」が出来るのを待つ間に関連書籍など漁っていたのですが,ノベライズ版が面白そうだったので戻ってきてから購入。昨晩のうちに読了。
 『おねがい☆ティーチャー』は同居を始めることになる話の時点で突飛さについていけなくなってしまいました。それに対して『おねツイ』の方は「写真に写っているのは碧い瞳を持つ1組の男女」「手がかりとなる家にやってきたのは,男の子が1人に女の子が2人」「女の子のうち,どちらかが肉親で,どちらかは他人」というラブコメの基本骨格があるお陰で楽しめました。
 ただ,難点は12話の最後。「どうして他人であるはずの女の子が3枚目の写真を持っていたのか」については,唐突に過ぎるところがありました。あきかんの手になるコミック版(ISBN:484023194X)も取り寄せてみたのですが,これは真相の出現が《機械仕掛けの神》を持ってきたようなところがあっていただけない。
 その点,雑破業(ざっぱ・ごう)による小説版(上巻ISBN:4840225184,下巻ISBN:4840226903)は問題の箇所について上手く処理されておりました。しかも,アニメ本編とはピンクと緑の関係を逆にするという構造(著者曰く「ギャルゲーの別ルート」)。本編の基本構造には沿いつつも,原作に引きずられない程度に独自性を加味しています。さらに「恋愛同盟」の解釈については心理描写をていねいに行うことにより,本編よりも練られた展開になっていることは特筆に値します。