日日日 『ちーちゃんは悠久の向こう』

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)

 帰りの機内では,日日日(あきら)『ちーちゃんは悠久の向こう』(2005年2月,ISBN:4797495588)を読みました。
 『狂乱家族日記』には渋面を作った私ですが,『ちーちゃん』は面白かった。や,つい先ほどまでエンターテインメントと如何に向かい合っていくかを語っていたから,というわけではないと思うのです。
 人間が壊れ,駄目になっていく様を一人称で書いた作品。まず文章そのものが巧いです。プロットの継ぎ目が見えてしまうところがあるけれど,ストーリーの流れに引っ張り込まれます。感情起伏の少ない覚めたような語りを通して,事態に上手く対処できずに破綻へと突き進んでしまう様が描かれます。それでいて結末は――
 でも,一番面白かったのは久美沙織による解説だったりします。若き天才も,経験豊富な姉御の手にかかればこの程度よ,っていうところが素敵。
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