乙一 『天帝妖狐』

 ようやく入稿できました〜(編集者さん,分量が増えてしまってゴメンなさい……)。このあと3週間で,また2本書きますけれどね。
 さて,この一週間で読んだのは乙一(おついち)の『天帝妖狐(てんていようこ)』(2001年7月,ISBN:4087473422)1冊きりという状況。中編が2本収められています。
 1つめは,トイレの落書きでコミュニケーションがされていくサスペンス仕立ての作品。こういうのは映像だと恐怖感が煽られますけれど,乙一の淡々とした文章だと冴えません。
 2つめが表題作。こちらは,こっくりさんの描写で始まります。全身を包帯でくるんだ奇妙な行き倒れの男と,男を助けた娘。手紙と述懐とを交互に織り交ぜて話が進む。やがて,男が面妖な風貌をしている理由が明かされていく。実に人間味と慈愛に溢れたお話しでございました。