野村美月 『“文学少女”と月花を孕く水妖』

 貧血と花粉症が合併したような症状で身体が重かったので,本を読んで過ごしました。野村美月(のむら・みづき)の『“文学少女”と月花(げっか)を孕(だ)く水妖(ウンディーネ)』(ISBN:9784757739185)を読了。先週の東京出張に持っていき帰りの機内で読んでいたのですが,そのまま読み終えてしまうのが勿体なくって,あえてエピローグの手前で閉じておいたもの。
 シリーズの第6作ですが,時系列では第2作のあとになる特別編。今回は泉鏡花『夜叉ヶ池』を参照しつつエピソードが展開します。ゲストヒロインの覚知になる一つの悲しい物語が“文学少女”によって読み解かれ,暖かく慈愛に満ちたストーリーへと反転する。お見事でございました。