ブリヂストン美術館 『Paris Passages』

 お仕事のため東京へ。
 羽田空港からの電車を宝町で降りてブリヂストン美術館に立ち寄り,企画展『都市の表象と心象――近代画家・版画家たちが描いたパリ』を観る。
 1800年代に行われたパリの都市改造の際,移ろいゆく風景を捉えた作家達による作品を集めてのテーマ展示。約50点と小振りな内容。リーフレットの裏側に主だった作品がほとんど載っている規模(笑)
 でも,古い街並みを刻んだエッチングを観られたので幸せ。緻密な銅版画は見ていて飽きない。最初に目を留めたのはジャック・カロ(Jacques Callot)《パリ二大景観》――けれど,これは1630年前後の作品なので企画趣旨からはズレているんだよな。
 その意味では,シャルル・メリヨン(Charles Meryon)《屍体公示所》が素晴らしかった。不吉さを含む作品だが,陰影に富む。画面右上には黒煙の立ち上る煙突があり,画面左下には“荷物”を運ぶ人の姿。この時代に生きて働いている人間の暮らしがそこにあることが伝わってくる。