白井恭弘 『外国語学習の科学』

 日頃,スペインのカレンダーを使っているのでニッポンの祝日がいつだったか不明になりつつあります。いずれにせよ授業に出る日はなかったので,授業準備をしてました。あと,花粉症でぼ〜っとしたり,HDDレコーダーの空き容量を増やしたり。
 こんな日ならばかえってオイル交換に来る客は少ないのではなかろうかと自動車のメンテナンスに出かけました(結果:40分待ち)。待ち時間に読んでいたのは白井恭弘(しらい・やすひろ)『外国語学習の科学――第二言語習得論とは何か』(ISBN:4004311500)。限りなく仕事の資料読み込みに近い何か。
 一言で表して,大変に誠実な書物でした。著者は,ピッツバーグ大学にて応用言語学を講じている人物。「人は母語の習得には成功するのに,どうして第二言語習得(Second Language Acquisition)では失敗するのか?」というのが主たる内容。言語教育学が今現在何に関心を向けているかを解き明かしているが,読んでみて分かったことは言語学の最前線にだって第二言語の効率的な教え方が分かっていない,ということ。分かっていないことを吐露する著者の姿勢は好ましい。
 まとめに代えて様々な教育ストラテジーが紹介されていますが,教授法ないし学習法としては有用な手法を示すわけではない。「これらを組み合わせてやれば何とかなるよ」とまでは示してくれるものの,「絶対大丈夫だよはにゃ〜ん)」がありません。
 それこそが本書は信頼するに足りると評価する事情ですが,取りあえず明日の授業をどう組み立てましょうか……。