東野圭吾 『名探偵の掟』
先日,某新古書店で東野圭吾(ひがしの・けいご)『名探偵の掟』のハードカバー版(ISBN:4062074001)を105円で購入。文庫や新書だと4年くらい積んであるのが大量にあるのですが,判型が大きいと収納が面倒なので先に読み始めました。
面白い! たまたま出逢った本で,しかも中身を見ずに作者買いだったのですが,傑作でした。
いわゆる《メタ・ミステリー》で,探偵小説をパロディ化しています。収められているのは12本の短編。
- 密室宣言――トリックの王様
- 意外な犯人――フーダニット
- 屋敷を孤立させる理由――とざされた空間
- 最後の一言――ダイイングメッセージ
- アリバイ宣言――時刻表トリック
- 『花のOL湯けむり温泉殺人事件』論――二時間ドラマ
- 切断の理由――バラバラ死体
- トリックの正体――???
- 殺すなら今――童謡殺人
- アンフェアの見本――ミステリのルール
- 禁句――首なし死体
- 凶器の話――殺人手段
いずれも名探偵と刑事という体裁をとっていますが,折に触れて作中人物が裏事情をつぶやいていきます。そこそこミステリーを読んでいて《お約束》を理解している者には笑いが止まらない。そのうえできっちりオチをつけていく東野の力量にも敬服。
初出は1990年〜95年と古くなっていますが,名探偵が生きられない世の中なのは変わっていませんから,これから先もしばらくは美味しく賞味できる作品です。