紅玉いづき 『雪蟷螂』

 ドイツ旅行中に思いついたことを原稿として書き出しています。2万2千字まで書いたのですが,今日は熟成を待つためにお休み。
 頭を冷やそうと,紅玉いづき(こうぎょく・‐)の第3作『雪蟷螂(ゆきかまきり)』(ISBN:4048675230)を読む。前2作に引き続き,文章の織りなす空気が澄んでいて美しい。歌い上げるようなプロローグが冴える。
 ただ,本文に入るとやや難あり,でしょうか。ある男の行動原理が不鮮明でして,物語世界に身を委ねる上での妨げになっています。その不可解さこそが作品のテーマにも関わってくるのですが,描写が足りないと感じられるところでした。