国立西洋美術館 『古代ローマ帝国の遺産』

 昼過ぎのエア・ドゥ便にて東京へ。国立西洋美術館にて開催中の『古代ローマ帝国の遺産――栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ』を観に行く。17時を過ぎてから入管したのですが,延長開館の時間帯だけあって人も少なく,落ち着いて見られました。
 最初のフロアではアウグストゥスらの胸像が出迎えます。トーガのひだまでも滑らかに表現された美しい造形。圧巻であったのは,ポンペイにあった邸宅から壁2面をそっくり持ってきた『庭園の風景』ならびに『モザイクの噴水』でした。今回の出品物の中には,フレスコ画を壁からはがして額に入れたものも幾つかあります。美術作品として保存するのであれば致し方ないことではあるけれど,壁画である以上は元々の建物と「込み」で見たいよなぁ――と感じながら眺めておりました。それが今回『庭園の風景』『モザイクの噴水』については,15分間のVR(ヴァーチャル・リアリティ)映像で再現が試みられています。モザイクの色が褪せていなかった頃,実際に水をたたえた状態であればどのように見えていたのであろうかを思い浮かべる助けとなりました。