Requena

 木曜日の食事中、テレビニュースを観ていたときにホストマザーが「今日から“embutido”だって」と教えてくれました。地方紙に出ていた広告を読むと、近郊のレケーナ(Requena)という町で「第10回ソーセージ見本市」 (X Muestra de Embutido) が開かれるということでした。翌日、鉄道の時刻表を手に入れて計画を立て始めたのですが、

* バレンシア 08時18分 → 09時49分 レケーナ 〔始発〕
* バレンシア 13時18分 → 14時49分 レケーナ

―― 何ですか、この運行間隔は(^^;) スペインの朝8時というのは、体感的に日本の6時に当たります。早起きはつらいですが、平日は勉強に専念する代わりに週末は遊び倒すぞ〜と決めた最初の週に挫折するわけにいかないし。何はともあれ、おいしいものが食べられるというなら行ってみたい。案内サイトを開いてもエラーが出て情報が手に入らない状態のまま、ともかく出発しました。

 レケーナ駅を出ると息が白い。どこに行けばいいのやら分からないけれど、同じ列車できた他の十数名のあとをついていきました。駅前の道路をしばらく進み、噴水のある大通りにぶつかったところで右折すると、漬け物の出店が開店準備をしています。その様を横目に見ながら進んでいくと入場券売り場(taquilla)がありました。

 場所がわかったら、まずカフェを飲んで暖をとらないと……

 さて、入場料5ユーロを払うと、直径10cmくらいの皿、ワイングラス、11枚つづりの食券が手渡されます。券は、ワインが2枚、パン1枚、ソーセージ7枚の組み合わせになっています。つまり、これをちぎって渡すと食べ物が支給されるというわけですね。会場は2つのテントに分かれていて、大きい方は幅40m×奥行き90m。その中に8店ほどのソーセージ屋さんがブースを出していました。各々の店では、右側で食券と引き替えに試食用のソーセージを配り、左側で販売を行っています。テントの中央にはワインが積み上げられ、これまた食券と引き替えにワインを注いでくれます。別のテントでは、パンの引き替えが出来るほか、ボデガ(ワインの蔵元)が即売会をやっていました。

 2時間かけて食券8枚を消費したところで、ふわふわ気分。人出も多くなってきて並ぶのがつらくなってきたので、最後の締めにかかりました。11枚目の食券、“Asado”です。つまり、大テント前の焚き火で豪快にローストされている豚さんの丸焼き〜 (*^^*) 40分待って、こんがりと焼けたところを入手。豚さん、おいしかったよ。往生してね。

 付け合わせに出てきたのは、隣の大鍋(半径1m強)で料理していた、黄色くてふわふわしたもの。食べてみると味はトルティージャ(スペイン風じゃがいも入りオムレツ)。かき混ぜながら焼いていたので、食感はスクランブルド・エッグ。とすると、先ほどバケツから鍋へと勢いよく注いでいたオレンジ色の液体は、溶き卵だったのか(笑)

 さて、帰りなんですが、これまた本数が少ない。暇だったので、一旦2つ先の終着駅ウティエル(Utiel)まで行って散歩し、それから引き返すことにしました。

 14時48分にレケーナを出る列車を待っていたら、40分にやってきました。スペイン国鉄は、スペインに似合わず時間に正確なのにおかしいなぁ? と思いつつ飛び乗って自分の時計を見たら、確かに48分。レケーナ駅の時計が8分進んでいたのでした。ちなみに、ウティエル駅の時計は、5分遅れてました。こんなところがスペイン。

 そうそう。レケーナは町自体の魅力に乏しいので、見本市の無い日に訪問することはお薦めいたしかねます。