El Ultimo Samurai

 久しぶりに映画を観ようと思い立ちました。チケット売り場に飾られたポスターを眺め、『エル・ウルティモ・サムライ』を選択。Ultimo(ウルティモ)はスペイン語の形容詞で男性形。これを女性形のUltimaウルティマ)に直せば、ゲームの名としてご存知の方も多いことでしょう。原題(英語)だと“The Last Samurai”です。日本でも上映されているようですね。『ラストサムライ』という邦題は、如何なものかと思うのですが。
http://www.elultimosamurai.com/
http://www.lastsamurai.jp/

 さわりの部分を紹介しておくと―― 1876年、米国サンフランシスコから物語は始まる。かつて先住民の排除に従事していた主人公オールグレン(トム・クルーズ)は、見せ物小屋で日銭を稼ぎウィスキーに身を委ねていた。時に、明治9年のこと。オールグレンは銃の腕を見込まれ、軍事指南の「お雇い外国人」として横浜に上陸する。
 さて、武士道の体現者として登場する人物が勝元(渡辺謙)なのですが、オールグレンが勝元に心服するようになるまでの展開で消化不良を起こしてしまいました。私の語学力の問題なので、日本版を観たら印象が変わってくると思います。
 勝元なる人物、最初は実在していたという前提で見ていたのですが、かつては天皇の剣術指南役であり、陛下の御前に出ることが許されているのみならず、元老院では参議と呼ばれている。翌1877年に旧勢力(武士)を束ねて戦に及んでいることから、これは西郷隆盛西南戦争をモチーフに据えたフィクションであると、ラストシーンに入ってから合点がいきました。これに気がつくまで、大変だったんですよ。元老院で主導権を握っている大村(原田眞人)が伊藤博文を意識しているのは感じ取っていたのですが、なんと合戦場で直接指揮を執っていたのですよ。どうして参議が!? 他にもツッコミどころ満載でしたので、近代史に通じている方はご覧にならない方がよろしいかと思います(笑)
 どうにも、欧米流に「武士道」と「名誉」を解釈してみようとしたけれど取り込みきれなかった、という印象を受けました。勝元の最期は、釈然としないです。もっと釈然としないのは、その後にオールグレンが御前に現れたこと。あんた、反逆者だろうが。
 配役についていうと、明治天皇を演じた中村七之助は実にいい感じでした。氏尾(真田広之)も。殺陣(たて)は、まぎれもなくハリウッドでしたね〜 1対1の見せ場が無い。で、血しぶきは飛び散る、生首は空を飛ぶ、ヒトは真っ二つになる。傷口を針で縫う場面まであって、卒倒しかけましたよ。
 とにかく言葉の壁を感じながら観ておりましたので、批評としては不完全であることをご容赦下さい。批判的な論調をしていたサイトを参照先として添えておきます。
http://cinesc.cplaza.ne.jp/theater/200312lastsamurai/
http://www.eiga-kawaraban.com/03/03111303.html
http://www.kcn.ne.jp/~tkia/kichi-ido/mki-62.html



追記
http://d.hatena.ne.jp/genesis/20040206