Palma de Mallorca (3)

 マジョルカマヨルカ)島、滞在3日目。
 09時10分、オスタル・アプンタドーレス*1 をチェックアウト。夕方まで荷物を預かってもらうことにする。
 町中を眺めながら歩き、09時50分、駅の裏手にあるバスターミナルへ。ベンチにいたおじさんから乗車券を買う(6.35ユーロ)。そのすぐ後、女性2人連れがやってきました。“Doce con setenta”と言われているのに「いくら払えばいいんだろ?」と(日本語で)言うものだから、つい「12.7」と(日本語で)答えてしまいました……。そんな成り行きで、帰りまでご一緒することになりました。福岡の大学の生徒さんで、卒業旅行に来たのだとか。あの、誤解の無いように行っておきますと、私の方から声をかけたわけではなくて、先方がバスの中で話を聞きに来たんですよ〜
 さて目的地は、島の東海岸にあるドラック洞窟(Coves del Drac/Cuevas Drach)。1896年にエドゥアール=マルテルによって発券された、この島最大の鍾乳洞です。地学と鉱石が大好きな私としては、ここをはずすわけにはいきません。途中の沿道には、マジョルカ島名物の風車を見ることが出来ます。所用1時間40分で、港町ポルト・クリスト(Port Cristo)に到着。バスはぐるっと半回転し、バス停の後ろにある道を5分ほど登って到着。車内放送も何もなかったので、危うく乗り過ごすところでした。気をつけましょう。
 さて、このバス停で降りたのは4人だったのですが…… なんか、わらわらと老人クラブの貸切バスがやってきます。その数、およそ300人(汗) 入場時刻が決まっているため、一時に大量の人が押し寄せることになります。おかげで、とんでもない混雑でした。
 残念なことに内部の撮影が禁止だったので写真をお見せできないのですが、とても良いところでしたよ。時間をかけて行ってみる価値は十分にありました。以前、山口県秋吉台秋芳洞)に行ったことがあるのですが、それに比べると、鍾乳石の表面は水分少な目で色黒、針のようにとんがっていました。30分ほどかけて進んでいくと、湖面に出ます。これが、長さ177mで世界最大の地下湖マルテル湖(Lac Martel)。で、この湖に面した斜面がコンクリートで固められ、全員が座れるだけの客席が設けられています。あ然。美しい自然をそのままに、という発想は無いようです……。
 着席したところで、イベント開始。3席の小舟が、音楽を奏でながら湖面を滑ってきます。
 小演奏会が終わったところで、順次退場。「船でお帰りの方は左へ、歩いてお帰りの方は右へどうぞ」ということだったのですが、相談の結果、船を選ぶ。が、「あのぉ、船の終点って、あそこですよね?」と視認できるほどに短距離であることが判明したため、橋を渡って帰ることに変更。約1時間の地底見学を終えて帰還すると、そこにはクジャクが……。なぜ??
 さて、13時。帰りのバスが14時45分なので、ちょっと待ち時間がある。女性2人組は食事をしないということだったので、1人で昼食をとりにいくことにする。坂道を下っていくと、ほどなくポルト・クリストの市街地に着く。海沿いに飲食店が軒を連ねていたので、適当なところを見つくろって定食を注文。1皿目はスープ、2皿目はヒラメのフライ、飲み物はビール、食後にアイスとコーヒーで、しめて10.9ユーロ。店を出た後、目の前の海岸を散歩してきましたが、砂は白くてきれいだし、入り江の湾曲具合も適度、海の色は鮮やかで、保養に来るならいい所でした。海中が眺められる遊覧船も出ていたのですが、そこまでの時間はなかったのであきらめる。
 14時50分、ちょっと遅れてバスが到着。先ほどの女性2人組も乗っていました。ところが、話を聞いてみると、一度この市街地まで降りてきたのだとか。往路、「アルハンブラ宮殿の入場券は、ここにもある銀行*2 の支店で簡単に予約できるんですよ〜」と話しておいたのですが、空き時間に買いに行こうということになったらしい。で、バス乗り場がどこか自信が無かったので、北道を戻り、ドラック洞窟前のバス停から乗ってきたのだとか。お疲れさま。
 16時30分、パルマ・デ・マジョルカに戻る。ここで女性達とは別れ、旧市街へ。17時30分、司教区美術館(Museu Diocesa)へ。祭壇画を収蔵しているとのことだったのですが、要は礼拝堂の壁に集めた絵画を飾り付けてあるというもの。宗教画は嫌いじゃないのでいいとして、これで入場料3ユーロというのは釣り合わないというのが偽らざる感想。
 日も暮れてきたので、これで観光を切り上げることにする。荷物を受け取って、少しばかりチップを渡し、バスの1番線に乗って空港へ。所用30分。チェックインを済ませ、空港内の売店を見て回ることにする。それほど多くはないけれど、必要なものは一通り揃っていました。みんな、競い合うように銘菓エンサイマダ(ensaimada)の入った八角形の箱を抱えているのが面白い。出発のアナウンスを聞いていると、2/3はドイツ語。就航している航空会社も、“.de”で終わるものが多い。マジョルカ島は、ドイツ人にとってのハワイなのです。
 本屋さんに入ってみると、ドイツ語のものが並べられていて、ここがスペインなのが自信がなくなってくる。ふと、ツインテールでセーラー服という、なかなかグッとくる雑誌に目がとまったのですが――
 『オタクのためのトレンドマガジン Koneko』(←と独逸語で書いてある)
 文章の意味は分からないながらも、写真を手がかりに読み進めてみたところ、特集は「実写版セーラームーン」、コスプレ講座は「東京ミュウミュウの髪留めの作り方」でした。やおい漫画も収録されていたので、女性向けと思われます。ヴァルハラは、存外に近いところにあるような気がしてきました。
 あ、最後に。マジョルカ産の真珠のことを、マジョリカ(Majorica)って言うんですよ。♪ピリカピリララ

*1:オスタル(hostal)とは、スペインにおける小規模経営の宿泊施設のこと。

*2:BBVA; Banco Bilbao Vizcaya Argentaria, ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行