Patlabor 2

 劇場版『機動警察パトレイバー2』(スペイン版)を観る。
 国防予算の増大を企図する者達が、東京を舞台とした「戦争」という状況を演出することにより、平和に酔いしれた国に危機感を持たせようとする筋立て。そのために首謀者達が繰り出してくるのは、米軍機によりベイブリッジを爆破してみせたり、ガスを積み込んだ気球を新宿に落としてみたり、自衛隊機に模した戦闘機により通信設備を破壊してみたり。1993年の作品なのですが、その頃にテロというと、こんなにも金をかけないとできないものだと思っていたんですね。
http://www.selecta-vision.com/
http://www.bandaivisual.co.jp/patlabor/
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 この10年の間で人類は、致死性の強い薬品を生成して地下鉄車内にまくとか、旅客機をハイジャックして建築物に激突させてみるといった、もっと安くて手軽な方法が存在することを知ってしまいました。選挙の3日前に列車を爆破すると、与野党の交代すら起こせるのです。
http://www.arrobaspain.com/ensayo/(@spain)
 そう考えると、テロというのは存外に簡単なものなのかもしれない。東京を混乱に陥れるというだけなら、情報の流れを止めてしまうだけで十分。例えば、電話局やデータセンターにつながる基幹回線が走っている地下溝で同時多発火災を起こしてみるとか。あるいは送電網を寸断して、電力の供給を落としてしまう。たったそれだけのことで、日本の経済は息途絶えてしまいそうです。コピー機と電話とパソコンが動かないと、何もすることが無くなってしまうのが現代の会社の姿なのですから。
 函館本線で崖崩れが起こると札幌への雑誌搬入が数日止まるように、もろい箇所はどこかしら存在します。日本の中枢といえば、千代田区。東京駅があり永田町があり秋葉原がある。その脆弱性って何だろう、と思わず考えてしまう映画でありました。