人工水晶体

 吉行淳之介人工水晶体」(講談社文庫、ISBN:406184296X)読了。
 表題作は、芥川賞受賞作家が白内障に罹り、当時の最先端の治療法である「人工水晶体(眼内レンズ)移植手術」を受けた顛末をつづったもの。併録作は、製薬会社の広報誌に17回にわたって連載された養生訓と題する小編。
 1986年の第二回講談社エッセイ賞受賞作ということだけれど、それほどのものだろうか? 文体は明晰であるから、体験記として優秀であることはわかるのだけれど。「××賞」というのは、出版社や書店にとって重宝する【売り】文句でしかないのかな。名刺を作ると、肩書きをつけたくなるのと同じ心理なのかも。