梟の城

 司馬遼太郎梟の城」(ISBN:4101152012)読了。1960年の直木賞受賞作。
 梟(ふくろう)とは忍者を意味している。時は戦国、豊臣秀吉の治世。織田信長によって殲滅された伊賀の出身者が主人公。太閤を暗殺するという依頼を受け、怨念を晴らすべく暗躍するという筋書き。
 ところが、歴史小説の壁がある。史実を変更することはできない。よって「秀吉は忍者によって暗殺された」という結末は起こらない。どうするのかと思って読み進めていたのですが、最終章の『伏見城』では肩すかしをくらいました。
 後に司馬文学が見せる認識の鋭さは、未だ現れていないように思う。