少女生理学

 かつて、少女漫画の御三家たる白泉社講談社集英社には、それぞれの持ち味がありました。それを、CLAMPカードキャプターさくら』(1996〜2000年)が、良くも悪くも流れを変えたのだと思います。講談社は、その次に脳天直撃型《萌え》以外の何者でもない『東京ミュウミュウ』(2000年〜)を投入するという見事な戦術を見せましたが、それが戦略的に好ましかったのかというと疑問が……
 少なくとも私は、古き良き『なかよし』は、ミュウファイブによって息の根を絶たれたと信じております。野村あきこさんほどの人材に筆を折らせてしまったのは、罪深いことでありましょう。
http://www.angelicvox.com/nadeshiko/amessage.txt
 で、ほぼ同時期に『なかよし』から去っていたのが、新井葉月さん――なんですが、この方、単行本が出るのは平均して2年おきなので、つい先日まで何も不思議に思っていませんでした(笑)
 そんな葉月さんが、4年振りに出したのが『少女生理学』(ISBN:4575830275)。嬉しくなっちゃって、雪が降りしきる中、買いに出かけましたよ。
 もともと、少女漫画らしい純粋な乙女心を表現するのが上手かったのですが、そこに艶(つや)っぽさを加えられるようになりました。読んでいて、ドキドキするの。
 胸のときめきを感じたい人に、この1冊を。