MORI Hiroshi

 およそ1か月かけて、森博嗣のVシリーズ(+同時期短編集)14冊を読了。
 いや、もう、最近は寒くってねぇ。毛布にくるまった姿勢でも出来ることといったら読書だし……
 短編集『地球儀のスライス』。小鳥遊練無(たかなしねりな)の顔見せ。
 第1作『黒猫の三角』。新シリーズ主役陣の登場。だからこそできるトリック。おかしい、「登場人物の数が足りない」なぁ――と思いつつ読んでいて、やられた。
 第2作『人形式モナリザ』。“実質的な”シリーズの始動。
 第3作『月は幽咽のデバイス』。わがままな動機。
 第4作『夢・出逢い・魔性』。舞台が東京のテレビ局であることですら仕掛けだったとは。
 短編集『今夜はパラシュート博物館へ』。練無、西之園萌絵と遭遇。
 シリーズ外作品『そして二人だけになった』。絡み合う二人。
 第5作『魔剣天翔』。アクロバット・ショーの最中に、曲芸機の中で行われた殺人。サブヒロイン・各務亜樹良の登場。
 第6作『恋恋蓮歩の演習』。豪華旅客船から「消えた」男と絵画。
 第7作『六人の超音波科学者』。研究所で起こった、研究所でしか起こりえない殺人。
 第8作『捩れ屋敷の利鈍』。萌絵と探偵・保呂草潤平の遭遇。
 第9作『朽ちる散る落ちる』。『六人の〜』の続編。瀬在丸紅子の展開する正義論(新書版233頁)が秀逸。
 第10作『赤緑黒白』。鮮やかに塗られた死体。何故に四色なのか。そして物語は、原点へと帰っていく。
 短編集『虚空の逆マトリクス』。積み重なる追慕。
 総じて面白かった。が、無理をしているという印象を拭い去れない。ホームズ役を紅子と保呂草に、ワトソン役を練無と香具山紫子に、そして警部役は林と祖父江七夏に――と、複数配置にしたことが、1人ずつの魅力を減じさせてしまったように思えてならない。