When they cry...

 夏頃から話題に上っていた竜騎士07原作の同人サウンドノベル、『ひぐらしのなく頃に』に触れてみた。
 未だ解答に示されていないミステリーであるということが、最大の関心事であろう。出題があるのに解答が示されていない――という状況は、多分に落ち着かない。フェルマーの最終定理を初めて見せられた時のように。その溝を埋めたくなるという心理を利用した、面白い趣向である。これから時間(おそらく2年)をかけて作者からの解答が示されていくということだから、今この時期が旬。
 出題編は雛見沢村に暮らす4人のヒロインを軸とし、(1)竜宮レナ鬼隠し編)、(2)園崎魅音綿流し編)、(3)北条沙都子祟殺し編)、(4)古手梨花暇潰し編)の順に展開される。舞台設定を同じにしながら、少しずつ事象を重ねていく手際の良さは見事だった。もっとも、これにより、かえって混乱させられるのだが。分岐した別々の事件が、あたかも同一の事件かのように思わせられるわけで、ある分岐では事件だったものが、別な分岐では事故だったりするわけだし。散りばめられた謎そのものがトラップであり、推理すべき《真相》とは何であるのかを探る方が難しい。
 細かい疑問点は、主観と客観の交錯、人物の入れ替わり、主観者に対しては知らされていなかった情報――等で説明可能だから、あまり気にしていない。このあたりは、数多ある可能性の中から作者が選び出したものを解答としてくれて構わない。大がかりに仕掛けられた、科学的に説明しがたい4つの謎*1 について、どのような説明がなされるのかを楽しみに待とう。作者がすべてに答えないという『エヴァ』のような終わり方をしたとしても、この作品なら面白いと思うけれど。
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*1:ひぐらし》状態、富竹の死因、梨花の予言、大災害――かな? かな?