貧乏姉妹物語

 かずといずみ貧乏姉妹物語』〔1〕(ISBN:409157341X)。
 母親は死別,父親は借金を残して失踪。残された姉妹は,家賃2万6千円のボロアパートで慎ましく暮らす。姉(15歳)はがんばり屋さんで,妹(9歳)はしっかりもの。
 コンセプトは,あまりにも〈不幸萌え〉という萌え要素に忠実。姉妹の名前は「きょう」と「あす」なのだから徹底している。狙いがあざとすぎて敬遠していたのですが――
 読んでみると,重苦しさをまとっておらず,実に淡泊な仕上がり。初期は8頁,途中から増量されても18頁と一話あたりの分量が少ないため,あまり起伏を含まず物語が進行しているのが幸いしているように感じる。ただ,「貧乏な姉妹」という設定を用意すれば自然と語られるであろうお話の域を出ていない*1
 何かストーリー以外に本作を特徴づけるものがあればいいのだけれど,それが無いのが惜しまれる。良くも悪くも「無難」な作品。

*1:この点,高屋奈月フルーツバスケット』は本田透の〈貧乏〉という状況を上手くストーリーに反映させていると思う。これに対して,本作は〈貧乏〉そのものに寄りかかりすぎ。