ひぐらしのなく頃に [6]

 07th Expansionひぐらしのなく頃に解』第6話「罪滅し編」を読む。
 劇中で流れる“you”は実に良い曲ですね。作者(dai氏)のサイトから頂いてきて,先ほどから流し続けています。
http://www.geocities.jp/iwamud/
以下,ネタバレを含むかもしれません。
 面白かった。
 そのうえで疑問に思ったのは,あの議論は一体どうして2006年1月に展開されたのか,ということ。
http://grev.g.hatena.ne.jp/keyword/rev%3a%e3%81%b2%e3%81%90%e3%82%89%e3%81%97%e9%bc%8e%e8%ab%87%e7%9a%86%e6%ae%ba%e3%81%97%e7%b7%a8?kid=28
本格推理としての道筋(フリ)を放棄するのは次の第7話で――かと思っていたのに,はっきりと第6話で,それと分かるように多世界解釈の必要性を打ち出している。昨夏の時点で処理されておくべき異議が持ち越されていたのでは? という気がしてくるのだけれど,それについては立ち入るつもりが無いので置いておいて(所詮,後出しジャンケンだしね)。代わりに,「罪滅し編」の前後に発表された主だった文書を読み返してみた。それで再発見したのが,ともよちゃんさんの書いたもの。

 僕らは一般に、不可視なものならともかく、目の前に見えているものが無意味なままであることを我慢などできません。そこで、受け手自身の手で意味付けがなされることになります。
 それは例えば「シナリオを一つ一つクリアしていくごとに世界観がだんだん見えてくる表現形式」であり、あるいは「メタリアル・フィクション」であり、あるいは「多世界解釈により統合された世界観」であり、「同じ時間を何度も巡るループ物」である。
http://d.hatena.ne.jp/./tdaidouji/20050810#p1

 「ひぐらし」の卓越した仕掛けは、ただひたすらこの一点に尽きます。
 「選択肢がないけれどもゲームである」と宣言することにより、分岐構造に抱え込まれた全体を包括的に見通そうとするメタ的な視点への欲求やエロへの欲求、そして何より「世界観(世界設定)」の説明、これらのストーリー進行におけるノイズを全て「残された謎」という形で先送りにし、あるいは受け手に丸投げしてしまうという荒っぽい手法だったのです。
http://d.hatena.ne.jp/./tdaidouji/20050812#p1

――あぁ,なるほど。これが「罪滅し編」の発表に間に合わせるべく書かれていた意図が,今になってようやく掴めてきました。当時は,何故「ひぐらし」に絡めてゲーム性についての議論が展開されたのかが理解できなかったん。
 ついでに,以前,出題編の第4話まで進めたところで自分が何を言っていたのか読み返してみた。

 散りばめられた謎そのものがトラップであり、推理すべき《真相》とは何であるのかを探る方が難しい。
 細かい疑問点は、主観と客観の交錯、人物の入れ替わり、主観者に対しては知らされていなかった情報――等で説明可能だから、あまり気にしていない。このあたりは、数多ある可能性の中から作者が選び出したものを解答としてくれて構わない。
 大がかりに仕掛けられた、科学的に説明しがたい4つの謎について、どのような説明がなされるのかを楽しみに待とう。作者がすべてに答えないという『エヴァ』のような終わり方をしたとしても、この作品なら面白いと思うけれど。
http://d.hatena.ne.jp/genesis/20041231/p1

――こんなこと書いてたのか。わからないことについては判断を差し控えて論点を指摘するに留めているあたりが法律屋ちっく。振り返ってみれば,結果的には収束点を向いていたわけですけれど……。
▼ 関連資料
http://b.hatena.ne.jp/genesis/%e3%81%b2%e3%81%90%e3%82%89%e3%81%97/