乙一 『GOTH』

 文学研究科で開催されたミステリ研究会に参加。本日のお題は,乙一(おついち)『GOTH[ゴス]』(ISBN:4048733907)。
 で,ライトノベル作家を取り上げるならば「日本三大ラノベ読み」が札幌にいるから呼んでみよう*1――というわけで,浅木原書店の中の人(id:asagihara)を口説き落として召喚。

思いがけないところからちょっとお誘いを受けて只今考え中。どうしよっかな……。
どうでもいいけど乙一って目立ったフォロワーのいない作家だよなぁとふと思った。
http://d.hatena.ne.jp/asagihara/20060403

この問題提起を受け,西尾維新佐藤友哉舞城王太郎らとの比較において乙一が占める立ち位置の独自性について意見交換を行う。例えば,それは文体のことであったり,イラストが持つ価値であったり。キーワードを挙げていくと,「余計なことを書かない端正でオーソドックスな文章」,「エグさの排除」,「〈語り=ナラトロジー〉の面白さ」,「テーマとかしての誤読*2」,「ライトノベルから本格ミステリへの越境」,「壊れた本格」などなど。他には,「分断の年(2003年)に第3回本格ミステリ大賞を受賞したことから透けて見える政治的配慮」,「どうして文庫版は分冊なのか」,「早く長編を書け」とか。
 この読書会のために初めて乙一作品を読んだわけですが,とても面白かった(私が送る最大級の賛辞)。
GOTH 夜の章 (角川文庫) GOTH 僕の章 (角川文庫)
 研究会終了後,g:book:id:asagihara の閲覧者であれば誰しもが持つであろう疑問「いったい一冊あたり時間をどれだけかけているのか?」をぶつけてみる。得られた回答は「平均して40〜45分,早ければ15分,最長で3時間」でした。今度,実演してもらおうと思う。

*1:http://d.hatena.ne.jp/asagihara/20050407#1112888339 を見たときから企んでいた計画でした。ちなみに,研究会には「少女論」の助教授もご臨席。

*2:文庫版を購入し,先に「僕の章」を読んでしまった参加者がいた。そこから,単行本と文庫本での配列の違いや,コミック版との際についても話題が広がったもの。