コペンハーゲン(2/3)

 マルメ(スウェーデン)のホテルをチェックアウトし,コペンハーゲンへ向かう(SEK93*1)。ここでの宿は Absalon Hotel Annex で,中央駅の裏口を出てすぐ。

コペンハーゲンの宿泊コストは概して高い。探した中で最も安いところだったのだが…… アウト・バス(No Facilities Room,トイレとシャワーは共用)なのに,シングル1泊がDKK511もする*2。旧館なので電気設備は漏電が心配されるほどに古いし,寝具は薄汚れているし,壁を通して音は聞こえてくるし,シャワーにしても蛇口からの切り替えがコツを要する。1つ星とはいえ,1万2,000円近くも払ってこの程度のサービスでは不満も言いたくなる。
 ともかく美術館に行って気張らししようとしたのですが,これがいずれも外れ続き。
 まず向かったのが,デンマーク国立博物館(Nationalmuseet)。なんだか郷土資料館と民俗学研究所と児童教育施設が混じり合ったようなところ。ヴァイキング時代の遺物は,朽ちた木片と錆び付いた金属片。「昔の人々の暮らし」に置いてあるのはコップや鍋だし。「世界の民族」コーナーでは,イヌイットのカヌーやら韓国の家がある。古代史の展示では,エジプトのミイラとギリシアの壺―― わざわざコペンハーゲンに来てまで見たいものではない。12世紀から16世紀にかけてのキリスト教美術は(相対的に)見所がある方でしたが,あまり質は高くない。デンマークを代表する画家が不在であることも併せ考えると,ここの風土は芸術に不向きなのかもしれない。

 次に向かったのは,ニュー・カールスベア美術館(Ny Carlsberg Glyptotek)。ガイドブックの記述を読んで,たぶん自分とは相性が悪いだろうと思ったら,予感が的中。1888年にビール会社カールスバーグの社長が開いたものだそうだけれど,並んでいるのはエジプトの石棺に,ローマの胸像…… 成金趣味の俗悪さが鼻につく。できるだけ視界に入れないようにして,まっしぐらに出口を目指す。レヴェル3に掲げられている19世紀絵画で,ようやく一息つく。しかし,絵画にしても収集品の質は悪い。美術館に置くには相応しくない程度のものの混在率が高すぎる。

*1:SEK1(スウェーデン・クローナ)は,約16.5円。

*2:DKK1(デンマーク・クローネ)は約20円です。