フィデンツァ

 クレモナは小さな町なので,2時間ほどで主だった場所は見終わる。さて,パルマに帰ろう――としたところで鉄道事故に遭遇。断片的な情報によると,踏切にトラックが突っ込んだらしく,上下線とも100分以上の遅延。
 それならば,ということで急遽,乗換駅フィデンツァ(Fidenza)を見てまわることにする。ドゥオーモは内部の壁が積み上げたレンガによって組まれており,純朴な印象を与える。サン・ミケーレ教会(San Michele Areangela)は,外観の荘厳な雰囲気とは裏腹に,モダンな内装。市庁舎のある広場は,快適な都市空間に仕上がっている。途中,商店街で見るからに美味しそうな食べ物が置かれていたので買い求める。アランチーノ(Arancino)というそれは,もともと南部の携帯食らしいのだけれど,米とハムと卵を絡めたチャーハンのような素材を直径5cmほどの球体に固めたもの。日本で売り出したら,「イタリア風おにぎり」として評判になると思う。
 小さな町のため,他に見るものも無く,駅まで戻ってくる。未だ鉄道のダイヤは回復していなかったが,運良く臨時のバスを捕まえることができ(時間はかかったものの)無事パルマに帰還。
 19時を回ったところだったので,夕食を食べにいくことにする。ドゥオーモから少しばかり南に下ったところにある「ラッザーロ」というトラッットリアで,店の名前を冠した定食をいただく。タルタルソースを添えた桜肉のミンチは絶品。軽く発泡した赤のランブルスコも爽やかに食事を盛り立ててくれる。ワインを各自ハーフボトルほど空けて家路につく。