紅山雪夫 『ヨーロッパものしり紀行』

 旅行中に機内で読んだのは,紅山雪夫(べにやま・ゆきお)『ヨーロッパものしり紀行 《神話・キリスト教》編』(ISBN:4101043213)。著者は,海外旅行の同行講師。『ヨーロッパが面白い』という題で刊行されていたものを分冊化して新書にしたもの。彫刻の題材として用いられることの多いギリシャ神話や,絵画に好んで描かれる旧約聖書の場面を紐解いていく。その姿勢は宗教的な意義からではなく「どうしてこの題材が芸術作品のテーマとして頻用されるのか」といった側面から面白く伝えている。新約聖書に記されているキリストの活動についても,教会の側の視点ではなく,芸術として楽しむための目線で書かれている。東方正教のイコンに至るまで取り上げられており,実に興味深い本でした。