お伊勢参り

 伊勢神宮に詣でる。名古屋駅を11時30分に出る快速列車に乗り,90分で伊勢市へ。駅のコインロッカーに荷物を預け,外宮(げくう)へ。門前の飲食店に入り,名物「伊勢うどん」で昼食にする。知人は,これを評して「江戸時代のジャンクフード」と言っていたが,なるほどなぁと思う。

 外宮から内宮(ないくう)へはバスで移動。終点の停留所まで乗ると410円だが,その手前の停留所で降りれば320円。わずか100mの距離で料金が跳ね上がるのは賢いというべきか,狡猾と憤るべきか……。
 随分と混み合っているのでどうしたのかと思ったら,折しも神嘗祭(かんなめさい)の当日でした。
 足を運んでみて思ったのは,どうして伊勢が神宮の本拠地とされたのか。表面的には,次のように説明されます。

 垂仁(すいにん)天皇の御代*1に至って,倭姫命(やまとひめのみこと)が新たに皇大御神をお祭り申し上げるにふさわしい地を求められることになりました。
 倭姫命は大和の国を始め伊賀,近江,美濃の諸国を巡られましたのち,伊勢の国の度会(わたらい)の地,宇治の五十鈴川の川上に到られ,皇大御神のお教えのままに「祠(やしろ)」をたててお祭り申し上げることになりました。
http://www.isejingu.or.jp/naigu/naigu.htm

確かに風光明媚な地で景観は美しいのですが,どうにも地政学的に重要な場所とは感じられない。交通の要所ではないし,周辺に人口を抱えているわけでもない。国家権力の重要な機能である祭祀部門を配置するからには,この場所でなければならない理由があったのだろうと思うのだけれど……。察するに,千田稔『伊勢神宮――東アジアのアマテラス』(ISBN:412101779X中公新書)が疑問に答えてくれそうだ。
 帰りは,近鉄の津駅で下車。駅構内のドーナツ店で休憩した後,バスでフェリーターミナル(津みなとまち)へ。乗客は2人。船でセントレアへ向かう(所要40分)。乗客は12人。燃料費も捻出できないのではないかと心配になる。

*1:第11代の垂仁天皇は,在位が紀元前29年〜紀元後70年とされる。