美少女ゲーム年代記: 2000-2004「妹とメイドさんの時代」
/* プロットは http://d.hatena.ne.jp/./genesis/20060406/p1 が初出 */
葉鍵系のもたらしたもの
- 「効率的なマイナス感情の喚起システム」
- 学園ものというフォーマットを踏襲した『ONE~輝く季節へ~』(1998年,Tactics)と『Kanon』(1999年,VisualArt’s/Key)を経て,『A I R』(2000年,VisualArt’s/Key)によって頂点に達する。
- シナリオは崩壊しており,総合して主題を見出すことが困難。それにも関わらず,確かに〈美少女ゲーム〉は成立している。映像と音声と断片的な言葉の組み合わせによって組み立てられた叙情的な風景。
泣きゲー&鬱ゲー
《仲良し空間》の裏に潜むもの
- リーフ『WHITE ALBUM』(1998年,ASIN:B00009WAYZ)
- アージュ『君が望む永遠』(2001年,ASIN:B00008HYFF)
「えっちなのはいらないと思います!」
ヘタレ主人公
- minori『Wind -a breath of heart-』(2002年4月,ASIN:B00008I17G/ASIN:B00006K0UY)
- 鳴風みなもの「問い詰め」
美少女としての妹
〈妹〉の出現
- カクテル・ソフト『With You ~見つめていたい~』(1998年9月,ASIN:B00009EL6V)
〈妹〉の可能性探求
- 参考) 読者参加型企画『シスター・プリンセス』が連載を開始するのは1999年3月号。
- パラダイム転換により〈幼なじみ〉から〈妹〉へと移行したことについては,本田透が『萌える男』(ISBN:4480062718)で構築した理論的枠組みで処理できるかと思う(cf. http://d.hatena.ne.jp/./genesis/20051111/p1)。同書の第2章では,「萌える男」は進化して〈男性性〉から解脱して〈少女性〉を獲得する――という説を展開しています。まず移行過程として『マリア様がみてる』のスール制度を捉え,男性の存在しない空間を描き出したものとします。そして,終局的には〈萌える男〉自身が萌えキャラ化する(すなわち脳内少女化する)ものとし,例として『処女はお姉さまに恋してる』(2005年,キャラメルBOX)を挙げていました。
- ちなみに,『かしまし~ガール・ミーツ・ガール~』に登場するはずむは,この本田理論をそのままなぞったような造形です。本田理論の軸線を繋いで『おとボク』の先にあるものを考えてみたとき,そこに『かしまし』がぴったりと符合します。
妹に対抗する〈姉〉
- marron『秋桜の空に』(2001年7月,ASIN:B00005OFF6)
〈恋愛シミュレーション〉の終着点にいる〈家族〉
- D.O.(ディーオー)『加奈~いもうと~』(1999年6月,ASIN:B00009ELHR)
- D.O.(ディーオー)『家族計画』(2001年11月,ASIN:B000065D5O)
- VisualArt’s/Key『CLANNAD』(2004年4月,ASIN:B0001MMHB2)
要素へと還元されるキャラ
〈メイドさん〉という虚構
- カクテル・ソフト《Piaキャロットへようこそ》シリーズ(1996年7月~)
- カクテル・ソフト『With You ~見つめていたい~』(1998年9月,ASIN:B00009EL6V)
- F&C『水月』(2002年4月,ASIN:B000065D7K)
メタリアル・フィクション
- そして「ギャルゲーをする私」の思弁へと辿り着く。答え無き問いに対して,ひたすら内向きのスパイラルが起こる。
- 元長柾木: VisualArt’s/otherwise『未来にキスを』(2001年9月,ASIN:B000065D3Z)
- 田中ロミオ(=山田一): FlyingShine『CROSS†CHANNEL』(2003年9月,ASIN:B000A8SYNC)。
保守反動
- 保守反動としての脱シナリオ。萌え要素への還元が行われる。「かわいいは正義」。
- ZERO『はじめてのおるすばん』(2001年12月,ASIN:B000065D4O)