美少女ゲーム年代記: 2003-「終わりなき日常」

 2004年以降,時代の寵児となったのは,「同人出身」という肩書きを持ったTYPE-MOON07th Expansionである。うわさ話として聞こえてくる販売状況からは,市場規模の成長は見込めそうにない。2006年10月20日警察庁が開催した研究会でコンピュータソフトウェア倫理機構ソフ倫)が報告した資料からは,以下のような状況が示されている。

 「成人向けPCゲームのパッケージ販売本数は2002年度の1,050万4,300本をピークに,2003年度は947万7,200本,2004年度は 787万1,500本と減少。以降は2005年度が800万7,400本,2006年度が上半期だけで329万2,700本と,ほぼ横ばいで推移している。なお,2006年度上半期の販売本数の内訳は,アニメ系が227万7,600本,実写系が101万5,100本。」
 「2004年度のダウンロード販売数は2万345本だったが,2005年度は17万5,420本,2006年度は上半期だけで16万7,829本と前年1年間の販売数にほぼ並んだ。」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/11/14/13932.html

美少女ゲーム市場は,好意的に見れば爛熟を経た後の安定期に,悪意をもって評価すれば緩やかな衰退期に入っているようである。しかし,未だに多数の消費者が抱える市場があり,商業ソフトハウスの制作意欲は衰えていない。最後に現代史を記そう。

 前章では「葉鍵系の終焉」として『CLANNAD』まで触れているが,発売の遅れ(2004年4月)のせいで時間的空白が生じてしまう。そこで本章では2003年9月26日(金)を時代区分の区切りとして捉えることにする。同日は,前章において触れたFlyingShineCROSS†CHANNEL』(2003年人気1位)が登場した日であり,本章で述べるオーガスト月は東に日は西に ~Operation Sanctuary~』(同年9月下期売上1位)がリリースされた日でもある。なお,同じ日に世に出た作品には,他にRune『Ricotte ~アルペンブルの歌姫~』(同年人気3位),Leaf天使のいない12月』(同年人気7位)などもある。

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