長月みそか 『HR(ほ〜むる〜む)』

 長月みそか(ながつき・みそか)『HR 〜ほーむ・るーむ〜』〔1〕(ISBN:4832275992)。これは手放しで褒めたい。だって,中学2年生(14歳)の女の子が,丸襟シャツ(もちろん白)で,紺ブレザーの制服(プリーツスカート)ですよ! これ以上,何を望むというのでしょう。
――というフェティシズムだけで済ませるには勿体ない良作なので,もう少しご紹介を。
 主役を張るのは表紙の3人。ドジキャラ担当でトラブル加速役の梶井素子まほろさんっぽく横方向にアホ毛を装着),チビっ子担当でありながらバスケ部キャプテンしかも策謀家という新機軸な田山ハナ,それに,トラブル発生係でありながら恋には奥手なツリ目っ子中原千夜。これに,千夜の恋のお相手「北原愁一」,秘かに恋の鞘当てを演じるメガネっ娘な生徒会長「夏目琴音」などを加えて学校生活が繰り広げられる。
 まんがタイムきららCarat芳文社)掲載の四コマ漫画ということもあって,何気ない日常描写を積み重ねる構成になっている。オチも,ほとんどが“くすっ”と微笑するようなもの。時折,恋の進展を感じさせるエピソードが挟まれるけれども,思春期ならではの小さなドキドキで仕上げられている。全編を通じて描かれるのは,ほんわかした懐かしい時間。

あでい いんざ らいふ (TENMA コミックス LO)
 もっとも,展開については際だったところが無いので,スクールライフを題材とする同種作品との差異を強調するのは難しいところ。しかし,ふくらみかけ少女を描かせたら長月みそかは当代一流である。前作『あ でい いんざ らいふ』(ISBN:4871827070)を併せ見て,その作風を感じ取っていただきたい。


▼ 追補
 『HR』の舞台である「橋沢市立山葉第二中学校」は長月みそか作品に共通する世界になっている。作中,別作品における描写が反映されている箇所が幾つかある。以下,気づかなくても問題は無いが,分かると嬉しいコマ。

  • 41頁。文化祭で校門を飾る一対のパネルのうち,女子側は音子(ねこ)。『あ でい いんざ らいふ』併録の「すてぃるぶる〜」に出演。
  • 48頁。3コマ目でスカートを洗っているのは知早たか子。『あ でい いんざ らいふ』第1話と同じ時間軸。
  • 68頁。生徒会長(琴音)の前でうろたえるのは鈴木先生。同人誌『しゅくだいがおわらない』(こどもちゃれんじ発行)収録の「先生と私のケジメ」に出演。「すてぃるぶる〜」にも登場。
  • 70-71頁。図書委員をしているのは知早
  • 75頁。4コマ目に音子。

http://www.coma.ais.ne.jp/~ohw/onehit/notes/idiom.html (登場人物プロフィール)