塩野七生 『賢帝の世紀』

 毎晩,少しずつかけて塩野七生(しおの・ななみ)『賢帝の世紀』を読み終える。

ローマ人の物語〈24〉賢帝の世紀〈上〉 (新潮文庫)

 上巻(ISBN:4101181748)は,トライアヌス(Traianus,在位A.D.98-117)の治世。ドナウ川の北,現在はルーマニアにあたるダキアの地を併合して帝国の版図が最大となった時期について。面白い箇所は,

「ローマ人が人材登用にコネを重要視したのは,彼らの現実主義的成功のあらわれの一つであったとさえ思う。コネとは,責任をもってある人物を推薦することだ。」(文庫版249頁)

かな。今日も専門学校へ行って公務員受験&民間企業就職について対策授業をしてきたわけなのですが,その学校には「コネを大切にしよう」という標語が掲げてあります。最初に見たときはのけぞったものですが,最近だと《コネ》って有り難いものだなぁと思うようになりまして。推薦者を介して信用で結ばれる関係,ということですからね。えっと,あれだ,つまり《セカイ系》でいうところの[中状況]ってこと(※オタク概念で説明する習慣は控えましょう)。
 中巻(ISBN:4101181756)は,ハドリアヌス(Hadrianus,在位A.D.117-138)の治世。少年愛とか,視察巡行とか,パンテオン(Pantheon)の建造について。
 下巻(ISBN:4101181764)ではハドアヌスと後継者アントニヌス・ピウス(Antoninus Pius,在位A.D.138-161)が半分ずつ。先人2人の功績で何も新たな施策を展開せずに済んだ平穏な時代として語る。

ローマ人の物語〈25〉賢帝の世紀〈中〉 (新潮文庫) ローマ人の物語〈26〉賢帝の世紀〈下〉 (新潮文庫)