紅玉いづき 『MAMA』

 紅玉いづき(こうぎょく・いづき)『MAMA(ママ)』(ISBN:9784840241595,2008年2月)を読了。
 きっかけは,とあるレビュー。

「この物語を読んでいると夜の雫が集まって細波のように頭の中に押し寄せる。」

http://d.hatena.ne.jp/hobo_king/20080208/1202468840

 普段とは違う文体の感想を書かせるほどの作品とはどのようなものなのか,興味をひかれて買い求めました。読み,そして,嘆息。
 ストーリーの要約を記してもあまり意味は無いと思う。この作品の魅力は,連ねられた言葉の美しさ。形容するなら端麗な。温度は無いのに,読む者を確かに射抜く。白色LEDから放たれた光線のように,冷たく,柔らかい。

「手を繋いで。『おやすみなさい』と言って。そして,目が覚めたら――『おはよう』と,言って」

 魔術師と魔物との間で取り交わされる契約が,何故に斯くもたおやかなのか。
 まるでプラネタリウムのような魅力をたたえた作品でした。


▼ おとなりレビュー

「この雰囲気はちょっと他の人が簡単に真似できないだろうなぁ。」

http://d.hatena.ne.jp/shamrock4/20080212/1202823539

「ああ、やっぱり、紅玉さんが作り上げる世界の雰囲気は、素敵だ。」

http://www.booklines.net/archives/4840241597.php

「生きること、人と人の絆、受け継がれる想い、そして、愛すること。単語で表現してしまえば安っぽくなってしまいそうな事が、言葉の中にぎゅっと籠められて、機微豊かに表現されているのはもう凄いとしか。」

http://d.hatena.ne.jp/KeiKomori/20080220/p2