新潟(その1)

 お休みを利用して新潟まで出かけてきました。
 11時40分に新潟空港に到着。連絡バスに乗って新潟駅に着いたのが12時30分。ひとまずホテルにチェックインして荷物を預けてから,さて何をしようと考える。
 新潟の観光ガイドを眺めていると,越後には豪農の邸宅が幾つか残されているそうです。中でも,新潟市の南方に広がる沢海(そうみ)の地には千町歩もの広い農地を持つ家があり,その歴史は江戸時代の中頃まで遡れるようです。どんなお宅なのでしょう。わたし,気になります。
 ということで,千反田 伊藤家の邸宅を見に行くことにしました。路線バスに揺られること40分。どうしてこんな辺鄙なところに本拠地が? と思ったのですが,堤防の上に設けられたバス停から辺りを見回して理解できました。越後を流れる大河といえば阿賀野川信濃川ですが,この2つの川を結ぶ水路(小阿賀野川)の分岐する交通の要所であったのです。

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戦後,農地改革のため,日本各地の大土地所有者と同様に伊藤家も土地の大部分を手放すことになりました。しかし,当時の当主であった七代目文吉は機を見るに敏なひとで,財団法人を設立して邸宅を保存したのだそうです。
 大きなお屋敷ですが,落ち着いた居住まいです。30mもある一本の杉の木を庇(ひさし)の支えに使うなど目を見張らせるところがありながらも,財力に物を言わせたというような悪趣味さはなく,好ましい感じを受けました。訪れた時季はちょうど藤棚が美しい頃であり,目を楽しませてくれました。


 もうちょっと花を愛でていたい気分だったのですが,1時間に1本しかバスの便が無いために90分ほどで切り上げて帰りのバスに。新潟の中心部に戻ってきたのは16時ちょうど。ガイドを手繰ってみましたが,この時間帯になると行ける場所はほとんどありません。18時まで開いている新潟県万代島美術館を,この日2箇所目の訪問地とすることにしました。新潟市の中心部を流れる信濃川の河口近くにある中州,万代島(ばんだいじま)にあります。良く言えばランドマーク,悪く言えばいかにも再開発事業で作った感がありありな周囲との調和がとれていない無機的空間である朱鷺(とき)メッセの中にあります。行ってみると『そばにおきたい絵 相澤コレクション』展が開催中でした。