杉井光 『火目の巫女』

 午後に講義をこなしてから空港に駆けつけ,夕方の便で東京へ向かいました。
 機内で城崎火也(きざき・かや)『渚フォルテッシモ』(ISBN:4840118744)を開いたのですが,第1章の2頁目で嫌になってしまいました。説明的にすぎる文章,ぞんざいなエピソードの扱い。でも,他の本は預け入れ手荷物の中に入れてしまったので,他に読むものが無い…… それで結局,第2巻(ISBN:4840120617)まで読了したのですが,第一印象で得た感覚は終始拭えませんでした。登場ヒロインの属性が行動ではなく《地の文》で与えられることが多いので,どうにも作られた存在という感じがしてのめり込めません。

火目の巫女 (電撃文庫)
 羽田に着いた後,杉井光(すぎい・ひかる)『火目の巫女』(ISBN:4840233039)を取りだしたのですが,こちらは逆に冒頭から読ませてくれました。律令時代あたりを舞台にした異形退治の戦闘美少女もの。
 活発系のメインヒロインの脇を,おっとり系と幼女で固める完璧な布陣。仕掛けも多重に張ってあり,ストーリー展開にもダレるところがない。良い作品だと思いました。結末における“煙の巻き方”も含めて。