西尾維新 『きみとぼくが壊した世界』

 レビュー記事においてネタバレを是とするか非とするか,通称「犯人はヤス」問題は古より尽きることなく争われてきた論題です(正確には,ネタバレを掴まされてしまった者からの罵詈であることが殆どですが)。かくいう私,ネタバレを聞かされようと一向に構わないという立場です。小説であれば文章の組み立て,ゲームであれば演出,といった《過程》も楽しめるものですし。
 それでも自分でレビューを書くときには留意します。何せ小鳥の心臓の持ち主なもので,ちょっとでも悪意が向けられると暫く落ち込みますから。
 で。
 西尾維新(にしお・いしん)の〈世界〉シリーズ第3作『きみとぼくが壊した世界』(2008年7月,ISBN:9784061826007)を読みました。あらすじは――書けません。これは《構造》を楽しむミステリーですから。後続読者のためには口をつぐんでおくべきかと。購入を検討している方に向けて添えておくと,読んでいる最中はわくわく楽しかったです。
 それでも何か述べようとするならば,本作は「くろね子さん」「様刻くん」「ロンドン」の三題噺でした,と前置きして,キャラクター達の魅力を語るか,あるいはロンドンの旅情を説くかしかない*1。そういうわけで,「シャーロック・ホームズ博物館」の売店で売り子をしていたメイドさんの写真を添えておきます。


▼ おとなりレビュー

*1: 余談。62頁下段に「日付変更線を越え」るという記述があるのですが……??