西尾維新 『化物語』

 『傷物語』に引き続いて,西尾維新(にしお・いしん)『化物語(バケモノガタリ)』を。上下巻組(ISBN:4062836025ISBN:4062836076)で全5話構成。各話を毎晩1つずつ(第5話は長いので2晩かけて)読み終わったところ。
 刊行当時,講談社BOXという仕様が好きになれないので勝手に不買運動などしていたのですが,海燕さんに薦められて購入し,そのまま積んであったもの。

 すっごく面白かった。
 まず何より会話の掛け合いが楽しい。各話ごとにヒロインが配置されているのですが,凄まじきツンデレ(ひたぎ),伊吹風子(まよい),褒め殺し(するが),幼馴染み系妹属性(なでこ),委員長(つばさ)と性格設定をはっきりと効かせた会話がテンポ良く繰り広げられます。アニメだったら,ぼーっと声を聞いているだけで幸せになれそうな。
 本作のストーリーは,主人公が《怪異》に惹かれることで起こることどもを追うことで展開していきます。ところがその《怪異》に絡むものがネコだったりサルだったりヘビだったりカニだったりカタツムリだったりするので,愛嬌がある。
 さらに全体構成。『傷物語』を読んで,とある人物との関係が不自然だと思っていました。それが本作の上巻を読んだら,なるほどねとなって。でもやっぱりそれって不自然だよと作中人物が指摘して。それらがエピソードの伏線として回収されていく様は手慣れたものでした。