秋★枝 『純真ミラクル100%』

 惹かれるものがあって購入してみたところ,なかなか良かったのが秋★枝(あきえだ)『純真ミラクル100%』(ISBN:4832277200)。
 シンガーソングライターを目指して上京したものの3年,ようやく音楽事務所から声をかけてもらった女の子。事務所の所長がちょっとした意地悪で変な格好をさせてテレビに出演させてみたら大反響を得てしまって―― という芸能界もの。男の向けの少女まんが誌コミックエール!』の創刊号から連載中の作品。
 元々読み切り作品の予定だったとかで,連載に移行したばかりの第2話から第3話にかけては少々ぎくしゃくした感じがします。所長が思わず女の子をいじめたくなって,やっちゃったらそれが裏目に出て……というのは,単発ならばさておき,ストーリー展開を引っ張る駆動力とするにはそぐわない。そういうイジメは,いかにも悪役っぽい勝ち気な女の子がやらないと様にならないのに,所長のキャラと齟齬が出てしまっていて。
 それが,第4話から俄然面白くなります。主人公の女の子は,所長が気まぐれに「モクソン」なんていう,ちょいダサな芸名を付けられても前向きになっちゃう,とてつもなく“いいひと”。モクソンの“いいひと”度は,古河渚CLANNAD)のひたむきさ水無灯里(AQUA&ARIA)の前向きさ,ゆの(ひだまりスケッチ)の純朴さを持ち合わせているぐらい。そんなモクソンのキャラクターが際だってくるのは,藤林杏藍華/沙英に相当する突っ込み役が登場してこそ。本作の場合,モクソンの人気に便乗してグラビアクイーンをねらう「オクソン」が絡むことにより,厚みが出てきています。続きが楽しみ。