大学院はてな :: とある先生への追懐

 スペイン労働法の研究に関していえば,日本で3本の指に入る(意訳:学会でも3人しか手がけていないマイナー領域を研究対象にしている)私でありますが,そのきっかけは,スペイン語圏についての法律学的研究が手薄であることを,とある先生に教えていただいたことでした。
 その先生はフランスの労働災害制度を研究されており,大変なグルメでありました。ワインの愉しみ方は,この先生に教わったものです。
 学部に在籍していた時分が退官される間際のときでありました。労働行政にも深く携わっておいでで,数多くの審議会において主導的な役割ををこなしておられました。ゼミの最中に「これは私が座長としてまとめた報告書に書いたことなのですが……」というのが数多く登場したことから,某お笑いトリオをもじって『ザチョウ倶楽部』というゼミ論集を出してみたり。
 大学院では,私が労働災害について著すことが多かったものですから,親身にご指導をいただきました。また,今では著名ブロガーであるHさんがベルギーに外交官としていて駐在していた時期であり,労働省宛てに届けられていたレポートを入手してきてEU法の手ほどきをしていただきました。
 そんな先生が,一昨日,黄泉に旅立たれました。
 保原喜志夫先生,どうもありがとうございました。