大学院はてな :: 「秋葉原で働いた方がいい。」

 研究会で東京セクハラ(T菓子店)事件を題材に取り上げて議論。第一審(東京地裁・平成20年3月26日判決・労働判例969号13頁)は請求を棄却していたのに対し,控訴審(東京高裁・平成20年9月10日判決・労働判例969号5頁)は一転して請求を認容し,損害賠償(慰謝料50万円+遺失利益99万円+弁護士費用20万円)の支払いを命じた例。
 セクシャルハラスメントないしパワーハラスメント事案は,事実認定(そもそも何かをやったのか?)が左右する部分も大きい。すなわち,問題とされる言動が有ったのか無かったのかがまず争点となりやすい。そのうえで法的評価に入るわけですが,身体的接触(eg.太ももを撫で回した)は「ハラスメント」という新しい概念を持ち出すまでもなく「強制わいせつ」で処理できます。それが,問題行動とされるものが下品な会話であったりすると,受け止める側の人物によって評価が変わってきます。
 ちなみに。筆者は,酒席でも話が妙な方向に進むと「えっちなのはいけないと思います!」と止めに入ってしまうのですが,同席した女性に「××さんったら潔癖性だよね〜」と呆れられること度々。ハラスメントの原告適格って,年若い女性とは限らないと思う今日この頃。
 閑話休題
 本件では,店長A(男性)が契約社員X(20歳前後の女性)に対する発言が問題となっています(但し,民法715条による請求であって被告Yは使用者になっており,本当の当事者であるAは訴訟の相手方になっていないという変な事件)。第一審と控訴審とで事実認定に差異があるため,細かく発言が認定されています。

「頭がおかしいんじゃないの。」
「昨夜遊びすぎたんじゃないの。」
「(ショッピングセンター名)にいる男の人と何人やったんだ。」
「僕はエイズ検査を受けたことがあるから,Xさんもエイズ検査を受けた方がいいんじゃないか。」
秋葉原で働いた方がいい。」
「処女にみえるけれど処女じゃないでしょう。」

――って,なんか変なのが混じってるです(笑) 「アキハバラで働く」ことは,世俗的には精神的虐待をもたらすものらしい。