レーゲンスブルク

 ニュルンベルク近郊の町を反時計回りに巡ることにして,今日はレーゲンスブルク(Regensburg)へ。09時36分発の列車に乗ろうとするも,今日も遅れ。DBドイツ鉄道の運行が当てにならないのはいつものことだし―― と構えていたが,さすがに50分しても列車が来ない(遅れが10分広がるごとに掲示の遅延情報も数字が増えていくだけで役に立たない)状態になると,これは旅程を考え直した方がいいと判断。ニュルンベルク駅の近くにあるDBドイツ鉄道博物館(Deutsch-Bahn-Museum)を観に行くことにして時間調整。11時36発の列車に乗車(ちなみに,当初乗る予定の列車は「120分の遅れ」になっていました。あきらめて運休にしろと言いたい)。
 12時39分,レーゲンスブルク駅に到着。ひとまず大聖堂(Dom)のステンドグラスを見てから観光案内所へ。午後のスケジュールを確認すると,ガイドブックに紹介されている町の見所2つは時間帯が被るので片方しか見に行けない。それというのも列車が来なかったせいだよ! 仕方ないので,神聖ローマ帝国議会博物館(Reichstagsmuseum)は次の機会にまわすことにして,ヴァルハラ神殿(Walhalla)を見に行くことにする(ドナウ河を走る船に乗っていくので景色が楽しめそうだという理由で)。14時発の遊覧船(往復EUR10.5)に乗り,片道45分の旅。ウィーンへ行ったときにドナウ河を見ているはずなのですが,冬場の旅だったせいか記憶に残っていないのです。レーゲンスブルクを出た直後には工場も建ち並んでいましたが,後半に入ると緑豊かな中を水はゆったりと流れていきます。これが古代ローマ帝国の国境線かぁ…… そんな思いを巡らせていると,突如左手に異様な白亜の建築物が現れてきます。ルードヴィヒ1世がドイツの偉人を祀るためにアテネパルテノン神殿を模して造営したもの,らしい。岸辺から見上げると,コンクリートの固まりに見えて無粋。神殿の中には偉人の胸像が置かれているようでしたが,悪趣味な感じがしたので入場せず引き返してきました。ドナウ河が屈曲している場所にある丘の上なので景色はとても良いけれど,別段こんなものを造らなくてもいいよね。川の南側(古代ローマ帝国側)は開墾されて畑が広がっているのに,神殿のある北側(ゲルマン側)は森林というのは暗示的。ただ,良い景色であっても滞在時間が1時間もあると持て余します。16時に帰りの船が迎えに来て,16時50分にレーゲンスブルク帰還。

 船は,町の中央に堂々とした姿を見せる美しい石橋(Steinerne Brucke)の近くに停船。で,この橋のたもとに焼ソーセージ店ヒストーリッシュ・ヴルストキュッヘ(Historische Wurstkuche)があります。11世紀に橋を造るために働いていた労働者の飯場だったとかで,店の名前に「歴史的」が入っている老舗。川岸の道は店から吹き出してくる香ばしい煙に包まれており,たまわずヴァイセン・ビールを添えて昼夜兼用の食事(約EUR10)。そういえば,この4日間で食べた暖かい食事のうち75%は同じ組み合わせだな……(注:暖かい食事は1日1回にして,もう1食はパンを齧って終わりにするのが通例)。

 ほろ酔い気分になったところで,橋の対岸へ向かう。途中の欄干に,大聖堂を見ている人物の像が。これはNHK世界ふれあい街歩き』で紹介されていたな。税金を取ろうとする教会権力に対する反発の表現だったように記憶している。番組では緑色の橋が出ていたと思い出して川沿いに西へ。途中の横道に入ってみると,橋も大聖堂も合わせて眺めることのできる中州に出られて満悦。緑色の鉄橋を渡ってみると,夕日が上手い具合に当たって良い眺め。

 19時20分発(5分遅れ)の列車でレーゲンスブルクを出て,20時30分にニュルンベルク戻り。