府中市美術館 『ターナーから印象派へ』


 ホテルを10時過ぎにチェックアウト。荷物を品川駅のコインロッカーに預け,京王線府中駅へ向かう。小金井街道を歩き,徒歩15分ほどで府中市美術館へ。お目当ては,現在開催中の『ターナーから印象派へ――光の中の自然』展。風景画好きとしては是非とも観ておきたい企画。
 出品作の殆どは英国のものであったため初見の品ばかり。自然主義というと18世紀中葉のフランス絵画が真っ先に思い浮かぶところなのですが,それとの比較で言えばイギリス絵画は随分に緻密で,太陽光が柔らかい。会場に入って最初に目にしたウィリアム・ヘンリー・ハント(William Henry Hunt, 1790-1864)の『プラムと銃とヘーゼルナッツ』『イワヒバリの巣』は,まさしく今回の企画展の意図するところを的確に伝えるものでした。この2枚だけでも足を運んだ価値がありました。
 さらに展示作を見ていくと,良く見慣れた建物を発見。確認すると,やはりバレンシア大聖堂の近くに建つ「ミゲレテの塔」でありました。説明によると,ナポレオン戦争の時期に英国人は長期間にわたって大陸へ渡ることができなかったことから,戦争が終わるとこぞってヨーロッパ大陸に出かけ絵を描いたのだとか。「ミゲレテの塔」の隣にあるオルチャータ屋さんには何度か行ったことがあるのですが,その場所が1832年にはどうなっていたのかを見ることが出来て楽しかったり。
 昨日と一昨日に観た大作揃いの絵画展も悪くはないのですが,こういう小振りな佳作が集められた展覧会の方が満足度は格段に上でした。