府中市美術館 『バルビゾンからの贈りもの』


 東府中駅の構内にあったコインロッカーに荷物を預け,府中市美術館を目指します。以前,府中駅から小金井街道に沿って歩いていったときは結構な距離があるように感じたものですが,東府中駅からであれば途中から府中の森公園の木立の中を突っ切っていく格好になるので清々しい(しかも道が分かりやすい)。次に来る時も此の経路を使うことにしよう。約18分で美術館に到着。もともとの旅行計画では諏訪湖岸の美術館を巡ろうかと考えていたのですが,府中で『バルビゾンからの贈りもの――至高なる風景の輝き』という魅力的な催しが行われていると知った以上,足を運ばずにはいられない。

 リーフレットだけでもわくわくするような内容でしたが,実際に会場で眺めてみると,ものすっごく良い展示でした。フランスのプチパレ美術館と県立バルビゾン派美術館も協力しているのですが,出品数は多くありません。今回の展示のうち府中市美術館が自ら所蔵する作品群が半分ほどを占めています。しかし,貸与を受けた作品を巧みに配置することで,バルビゾン派という風景画の潮流が同時代の日本にどのように伝えられ,受容されていったのかを流れとして組み立てており,大変に興味深いものに仕上がっていました。府中市美術館にやって来たのはこれで2度目ですが,ここの学芸員さんは本当に良い仕事をする。
 好みで3点を挙げておくと,ジュール・デュプレ《山村風景》,小山正太郎《秋景図》,中川八郎《雪林帰牧》かな。
 入場券を買い求めたところ「栞としてお使いください」と赤い紐を添えてくれました。ちょっとした工夫ですが,とても嬉しい心配りです。