アウグスブルク

 朝食後,出かける前に e-mail のチェックをしたところ,スペインから「日本では地震が起こったそうだが,ちゃんと来られるのか?」というメッセージ。すぐさまウェブのニュースを開いて,東北地方太平洋沖地震の発生を知りました。
 安否問い合わせに対する返答に1時間ほどかかりましたが,1004ミュンヘン発のREでアウグスブルク(Augusburg)へと向かいました。仮にも西洋史(しかも,スペインに視点を置いた宗教史)を講義したりしたこともある身なので,あの「和議」の町には是非とも行ってみたいと思っていたところでした。約40分でアウグスブルク中央駅に到着。
 地図を見ると十分に歩いてまわれる大きさではあったのですが,昨日の疲れが足に残っていたので,路面電車に乗車。見どころの中では最も外れにあるモーツァルトハウスまで移動。「モーツァルト」といっても,ヴォルフガングではなく,父レオポルドの生家です。しかしながら展示内容はヴォルフガングの少年期まで含めたものになっています。あと,ここでは音声ガイドを無料で貸し出してくれるのですが,珍しく日本語音声が用意されていますし,内容も大変に興味深い内容を含む解説でした。率直にいって,ザルツブルクの方の「モーツァルトの家」は得るものが無かったのに対し,こちらアウグスブルクの方は素晴らしい。しかも人が少ないので落ち着いて見て回れる。これはアウグスブルク全体に言えることなのですが,観光客の数が少ないうえに,街並みそのものがしっとりとした落ち着きを含んでいて好ましい。ミュンヘンは騒がしくて落ち着かないところなので,次回以降,南ドイツに長期滞在するときの拠点にはアウグスブルクを候補に入れておこうと思います。
 たっぷり1時間ほどをモーツァルトハウスで過ごした後,少しばかり南下して大聖堂(Dom)ならびに併設されている司教区博物館(Diozesanmuseum)を見学。ここでもまた1時間ほどかけました。

 2箇所しか巡っていないのに,思いのほかに興味深いものが続いたせいで,時刻は既に13時をまわってしまいました。今日は久しぶりに,昼食にしっかりしたものを食べようという気分(※注※ 一人で旅行する際,座って暖かい食事をするのは昼食か夕食の選択制にしてます)だったので,レストラン「バウエルンタンツ(Bauerntanz)」へ。本日のランチメニュー「とんかつ,ポテトとキュウリのサラダ添え(Gebackenes Schweinekotelett mit Kartoffel-Grukensalat)」をいただいてきました。

 食後は社会福祉住宅フッゲライ(Fuggerei)を見学。第二次世界大戦後に復興されたということもありますが,快適そうでフォトジェニックな住空間でした。


 市庁舎(Rathaus)に立ち寄った後,中心部を南下してシェッツラー宮殿(Schaezlerpalais)へ。現在は「ドイツ・バロック美術館&州立絵画館」となっているのですが,1400年代の祭壇画のコレクションに素晴らしいものがありました。
 それぞれをじっくり見て回ったせいか,日没が近づいてきました。最後に聖ウルリヒ&アフラ教会(St. Ulrich und Afra)へ。カトリック(旧教)の教会とプロテスタント(新教)の教会が隣り合っているという珍しいところでして,まさしく《アウグスブルクの和議》を視覚化したような場所です。

 帰りは,日が陰るまでの時間を利用して町を散策しつつ,駅まで歩いて向かいます。1839発のREに乗車し,1922ミュンヘン着。
 ホテルについたところでtwitterを開いてみたところ,日本時間では朝の05時前だというのにタイムラインが流れています。まさしく長野でも地震が発生したところだったのでした。CETヨーロッパ中央時間では同日のうちに震度6を超える地震が相次いでいたわけで……