封印再度

 完封負けのままだと悔しいので、続けて森博嗣封印再度 ‐Who Inside‐』を読了。こちらはシリーズ5作目。入手しそびれたので、3作目と4作目を飛ばしています。推理小説だから単体で読んでも構わないハズなのですが、この作品では探偵役の助教授と助手役の大学生との煮え切らない関係が全体を通しての物語を構成しています。最近のミステリィは、トリックだけじゃないから大変だなぁ。

封印再度 (講談社ノベルス) 封印再度 (講談社文庫)
 

 岐阜県恵那市の旧家、香山家には代々伝わる家宝があった。その名は、「天地の瓢(こひょう)」と「無我の厘(はこ)」。「無我の厘」には鍵がかけられており、「天地の瓢」には鍵が入っている。ただし、鍵は「瓢」の口よりも大きく、取り出すことが出来ないのだ。五十年前の香山家の当主は、鍵を「瓢」の中に入れ、息子に残して、自殺したという。果たして、「厘」を開けることが出来るのか? 興味をもって香山家を訪れた西之園萌絵だが、そこにはさらに不思議な事件が待ち受けていた!
(表紙見返しより内容紹介を引用)

 事件の概要。帰省してきた娘が夜道の運転を誤って河原に投げ出され、病院に運び込まれた。ところが夜が明けてみると、交通事故現場のすぐ近くで父の死体が発見されたのだ。死因は、胸に突き立てられた刺し傷による出血。ところが血が流れていた場所は遠く離れた蔵の中であり、そこには血痕のついた「天地の瓢」が残されていた。しかし、凶器と思しき刃物は見あたらない――
 考えてみて、一箇所だけ解けたんですけれどね。土蔵の扉が閉じられていた理由なら。あとは×。というかですね、可能性までは思い当たっても特殊知識が無いと解けないっていうのは、釈然としないです〜。犀川氏から「理科年表にだって、ちゃんと載っているから調べてごらん」(新書版378頁)と言われてもなぁ……
 それはさておき、娘が父の死に関わっていたのか否かを判断するために必要な資料の提示が遅かった。そういうことが医学的にあり得るのかどうか知らないので強くは非難できませんが、これまた釈然としないです〜。