大学院はてな :: 重畳的使用者関係

 本日は研究会。取り上げられたのは、大阪証券取引所事件*1。株式売買が自動化されて「場立ち」が無くなったため、仕事そのものが消滅した仲介人らが、証券取引所を相手に団体交渉を求めた事案。労働委員会は救済命令を発したが、裁判所はこれを取り消している。
 労働法には、「労働組合法上の使用者」ないし「重畳(ちょうじょう)的使用者関係」という考え方がある。これは、直接に契約を結んだ関係ではなくても、支配力を行使しうる立場にある者ならば団体交渉の席につかせようというもの*2
 この労働法的な発想というものが、どうしても民法的に考えてしまう裁判官に伝わらない。
http://hokkaido.sociallaw.info/

*1:東京地判 平成16年5月17日 労経速1875号3頁

*2:朝日放送事件 最三小判 平成7年2月28日 民集49巻2号 559頁