ARAI, Rie
結末を用意してくれて、ありがとう。本当に嬉しい。
新井理恵『子供達をせめないで』をようやく読了。1996年に第1巻が刊行されたものの*1、長らく途絶えていた作品。第2巻が出るのを心待ちにしていただけに、喜びもひとしお*2。
兄や母に疎まれ、ヘラヘラとしたお調子者を装う高校生睦月。思うところあって自殺しようとしたところを通りがかった小学4年生の女の子菜摘(なつみ)に引き留められる。その菜摘も母に先立たれてからというもの、父は家に寄りつかなくなってしまっていた。ところがところが、菜摘の父とは睦月の担任で、彼が高校生の時に出来た子供で――
100人の女性が居ても、甘やかしてくれて、好きになってくれる人なんて1人いるかどうかもわからない。でも、そんな1人が、10歳の少女であったとしたら?
叱るくらいのこと 小学生にだって できるんだぞ……?
心に欠けた部分を持つ《子供達》が織りなす物語。人と人が触れあい、欲しい言葉を与えあうことの喜びを正面から描こうと取り組んだ秀作。
ただ、この表紙が難点かなぁ。ボーイズ・ラブ風の絵柄であるため、これを見て本作がシリアスなドラマを含んだ内容であるなんて分からないと思う。そんなわけで、ここで褒めちぎっておくのです。
ぷに萌えな人は、菜摘ちゃんを眺めているだけでも幸せになれる。
*1:ISBN:4789780414。ソニー・マガジンズ『きみとぼく』掲載。
*2:刊行されたのはちょうど1年前だけれど、その頃は日本にいなかったん。