symphonic rain, 2nd movement
工画堂スタジオ(くろねこさんちーむ)『シンフォニック=レイン』*1の進行状況報告(第2楽章)。
リセルシア・チェザリーニ(Liselsia Cesarini)シナリオ。人目を避けるように旧校舎でひとり,歌を唄う下級生。無口で,他人との接触を極端に拒む。しかし,主人公にだけは心を開くようになり――
物語を駆動させる構造は,『ONE〜輝く季節へ〜』*2に類似。「両手で△△を抱え,口元に運ぶ小動物のような仕草」の空欄を,「パニーニ」にすればリセ,ハンバーガーにすれば椎名繭になります。
こう整理すると悪口に見えるかも知れませんけれど,批判しているわけではないです。ドラマツルギー(dramaturgy)のステレオタイプ(stereotype)を類型化していけば,多くはシェイクスピアに吸収されてしまうわけだし。ポストモダン(シミュラークル)においては,どの場面で類型を適用するかが価値につながるのだから。本作においては,ヒロインの均衡を考えると的確な配置でしょう。
ただ,性的弱者としてのオタクを考察する場合,リセルシアのような《設定》の恋愛に弱いということは自覚しておいた方がいいと思う。私の“BITTERSWEET FOOLS”に対する申し立て(id:genesis:20050319:p1)も,問題認識は同じです。
私見としては,状況を描くだけではなく,内面を掘り下げていって欲しかったところ。重苦しさに耐えきれない人が出てくるかもしれませんが……。『ひぐらしのなく頃に』の祟殺し編(北条沙都子シナリオ)までやれとは言いませんから。
▼ 追記
この先のコメント欄では,ネタバレがあります。ご注意ください。
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*2:Tactics,1998年。ASIN:B00009ELRU