NYAN 『病院のないしょ』

 先日のこと。amazon.co.jpにカスタマーイメージを登録しつつ,蔵書の整理をしておりました。すると,出ているのを知らなかった本というのが幾つか見つかりまして……。直近では,NYAN(にゃん)さんの『病院のないしょ♥』第1巻(2007年12月,ISBN:4821185350)の存在に慌てました。ここ数年,とらのあなの発売予定表を参照して1か月ぶんの購入予定を書き出し,自己アフィリエイトで注文するという購買スタイルを採っているのです*1。が,あまりに変わったところから刊行されていたので気がつかなかったらしい。掲載誌は,ぶんか社『読者投稿爆笑4コマ魂』(でも,本作は四コマではありません)。
 NYAN(にゃん)さんの略歴に触れておくと,『キャンディタイム』誌の1993年5月号で商業デビューしています。『巫女様HELP!!』(ISBN:489421119X)の連載が始まった号が,えびふらい『夢で逢えたら』の終了した号でもあったという縁で目を付けた作家さんでした。半ば公然となっている別名は「祥寺はるか」さんで,同人では創作少女畑の人*2。イベントで気に入って購入したレターパッドが,実は祥寺はるかさんのものだったということもございました。初期の頃は頭身も高かったのですが,1999年頃からは絶妙な《ぷに》具合の絵柄になっています。
 と,十数年に渡るお付き合いではあるものの,寡作な人でありまして,単行本はこれまでに実質7冊。一冊にまとまるまで時間がかかるため,数年単位の空白を置いて出ています。別名の方で単行本が出ているのに気がついたのも今回のことなので,前作『みずいろ・ぴんく』以来,約3年半ぶりに新刊を手にいたしました。
 さて,『病院のないしょ』の紹介。元ナースであるNYANさんによる,お仕事の裏話でできています。この分野はいろいろと手がけられており,最近では新井葉月さんが薬剤師であることを活かして『薬屋りかちゃん』を送り出しております。『病院のないしょ』は〈感動〉とか〈成長〉とかをテーマに掲げるようなものではなく,客(患者)には見せられない〈実態〉に迫ります。かといって〈暴露〉のような悪趣味なところはありません。

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  • 解剖見学には古い靴を履いて
  • はじめてのどうにょう
  • ナースのお食事事情
  • すみこみこナース
  • ごいっしょに胃カメラはいかがですか〜?
  • ミルク(母乳)プリン

と,医療関係の小ネタを集めてできています。かわいくラブリィな仕上がり。イニシャルG(ゴ×××)や流血シーンまでも愛くるしいのはいかがなものか(笑)
 各話6頁で構成されていますが毎回オチもきれいに決まっています。造りは文句なしに上手い。苦労も多いであろう看護師の姿をコミカルに描いた逸品。
▼ おとなりレビュー

*1:http://www.sv15.com/money/boople.htm

*2:持説に「ビジュアルノベル的価値観は,葉や鍵の以前,青年マンガにおいて少女まんがが取り込まれていくことで素地が作られていた」というのがあり,その萌芽として秋葉凪樹(1994年デビュー)を具体例に挙げております。が,その遷移段階にNYANさんを位置づけられそうな……