クエンカ

 もともとの目論見では,金曜日を資料収集にあてるつもりだったのですが,行事のために大学が閉鎖になるとのこと。それならば――と,郊外に日帰り旅行に出かけることにしました。目的地に選んだのは,世界遺産になっているクエンカ(Cuenca)バレンシアマドリッドの中間くらいの位置にあって,バレンシアからだと少々遠いのと交通の便が悪い(鉄道が1日4本)のとで訪問の機会がなかったのです。早起きして08時14分サン・イシドロ(S.Isidro)駅発の列車に乗り,約3時間20分の旅。バレンシア州はオレンジやオリーヴの畑に太陽が降り注いでいるのに対し,州境の山を越えてラ・マンチャ地方に入ると荒野にヒマワリ畑が広がります。11時36分,定刻にクエンカ着。
 寒い。標高1,000mだというのを失念していました。地元の人はセーターやコートを着ているのに,こちらは半袖です。まぁ,歩いているうちに暖まってくるでしょう。銀行を探しているうちに道を逸れてしまったのですが,駅から徒歩15分ほどで旧市街の入り口に到着。ウエカル川(Rio Huecal)に架かる小橋を渡ったところで右折し,川沿いの道を進むと,直に宙づりの家(Casas Colgadas)が見えてきます。断崖絶壁に反り出すようにして建てられた14世紀の建物。よくもこんなところに建てたものだと感心します。ちょうど良い場所に吊り橋が架けられていて,建物を横からも眺めることができます。

中は美術館になっているということなので入ってみようとしたところ「18日から21日まで臨時休館」の張り紙が。まぁ,建物の外観を眺めるのが目的だからいいけれどね……。

 宙づりの家から階段を昇っていくと,道が柵でふさがれています。かといって完全にふさいでいるわけでなく,身をよじれば通れるようになっており,同じ柵が道の反対側にもある。ん〜,これと同じものを映像で見たことがあります。柵が二重になっていて観客は外側に,内側は牛に追いつかれそうになったときに走者が逃げ込む避難場所。
 ――って,ここは牛追い祭りの走路なのでは!?
 あわてて逃げ出しましたが未だ準備中だったようで,市役所前広場では会場の設営が行われていました。さすが牧畜の盛んなラ・マンチャ地方です(スペインの祭りや伝統芸能は地域差が大きい)。先ほどの臨時休館は,村祭りの関係だったのか。もうひとつの見所であるカテドラルは通常営業だったので,拝観してまいりました。
 さて,帰りの最終便は18時52分ですが,これだと戻るのが遅くなる。その1つ前となると14時50分発ですが,この便で。駅に向かって進んでいくとバルが並んでいる通りがあり,祭りの衣装を着込んだ人たちがビールをあおっています。時計を見ると13時40分。1時間しかないけれど急げば大丈夫だろう(スペインで食事にかける時間は通常2時間)ということで,黒板の良く見える席に座り,解読作業を開始。


今日の定食 EUR9.50

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パン / 飲み物 / デザート

横線で区切られた第1ブロックと第2ブロックから,それぞれ一品を選ぶ仕組み(第3ブロックは,どの組み合わせでも付いてくる)。村祭りで牛追いをやる町だけあって肉食は避けられないらしい(注:普段は草食です)ので,あきらめてメインを「シュラスコ」にして,前菜は「サラダ」にしよう……。

 あぅあぅ。肉づくしになってしまった……。というか,これが「サラダ」?? 棒々鶏(バンバンジー)のキュウリ抜き中華ダレ抜きに見えます。鶏肉とリンゴを角切りにしてマヨネーズで和えてあるのですが,野菜よりも肉の方が比重が大きい……。帰りの車内では,胃もたれを痛烈に感じておりました。